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300930土に挑む 走泥社の作家たち展(福島県立美術館)

■いろんな ええ土(by笑い飯

福島県立美術館で開催されている

「土に挑む 走泥社の作家たち」展に行ってきました。

 

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普段企画展をやるスペースのおよそ1/3ほどを使った、こじんまりとした展示でしたが、日曜日の昼間のわりにガランガランに空いていたし、作品数も38点ほどだったのでその分ひとつひとつに丁寧に見ることができました。近所なので、10分程電車に乗っててくてく歩いて散歩がてらに来たんですが、散歩の延長のようでちょうどいい感じ。

art-museum.fcs.ed.jp

赤レンガが瀟洒な建物は、大高正人氏が設計しました。

すでに20年近く経っていて、震災時には損壊も多少あったようですが、いまは元気に営業中です。

周りには芝生と、そこかしこに竹やつつじの植え込み、小川も流れていて、ロケーションが多彩です。

四季を通してくつろげる自然いっぱいの空間。

実は、ここで結婚式の前撮りもやりました笑

 

展示室の休憩室からいろいろな眺めを楽しむことができるのもポイント。

そういえばこの休憩室、ほかの美術館に比べるとかなり量が多い。大きな部屋と部屋の間にひとつずつあって、全部で5、6個ある。だれがこんなに休憩するんだろう? 場合によっては作業部屋や物置として使えるあそびの空間なのかもしれない。小さい頃から、この休憩室の、空間と空間のはざまにあるようなふしぎな切り離された感じを気にいっている。

 

■本展でのBEST3

①山田光《白い窓》1980頃 岐阜県現代陶芸美術館蔵

白いタイルに目がない。清潔感や水の流れを連想させる。

だから原美術館あの常設展示作品も大好きで、本作を見た時それを連想してしまったし、金色が入っていればもっと完璧だったのになあと思いさえしたが、それは山田さんに失礼か…。

 

②鈴木治《掌上泥象三十八景》1987年 福島県立美術館

38個の抽象オブジェ。太陽や雲、風などの自然現象をかたどった、てのひらに載るくらいの小さな焼き物で、並んでいるととてもかわいらしい。《午後の太陽》《雲ノ化石》などのフワッとしたタイトルと形を比べてみて、どの形が何を表わしているのか考えながら見るのがたのしかった。

この中だと、《風ノ通い路》《太陽ノ道》《消えた雲》が特に形がすきだったな。

色が赤褐色でまるで焼き菓子そっくりなので、小さなサブレーセットになったところを想像した。

38枚の形がみな違うサブレーが、同じ真っ白の袋に個包装されていて、銀色の四角い缶に入っている。そして38の名前のリストが1枚同封されていて、買った人はサブレを食べながら、リストを見て、いまどの名前のサブレを食べているのか考える…っていう。

 

③山田光《塔》1960年頃 岐阜県現代陶芸美術館蔵

オレンジ色の、ねこみたいな形をしたやぐら(塔というよりは、やぐら)。

ランタンみたいに見えるけど、ちょっとねじれているな、と思いぐるっと回りをみてみると、そのねじれは身体運動で、胴をねじって華奢な足を一歩、前に踏み出そうとしているみたいに見える。まるでふしぎな生き物のフィギュアみたい。

 

■本展のお持ち帰りしたい一品

山田光《黒釉花生》1969年 岐阜県現代陶芸美術館蔵

小ぶりで、両掌に収まりそうなぽてっとした楕円形のボディに、つやつやの黒い釉薬がかかっている。へぎ模様も大好き。黒い花瓶は何でも似合うからずるいな!使い勝手のよさそうな見た目で本作をチョイス。ガーベラとか、薔薇とか、派手な花を沢山挿して、玄関とか、テーブルの上に飾りたい。