少女のころを過ぎても:世田谷美術館『こぐまちゃんとしろくまちゃん』展
■9月だからって油断した
東京、暑い。
マスクしてるとふつうにもっと暑い。
この日は台風の影響もあってかなり蒸し暑く、歩いてるだけで汗だらだら…
さて、世田谷美術館にて開催中の、
「こぐまちゃんとしろくまちゃん」展を見に行きました。
世田谷美術館、はじめて行きました。都心からは少しアクセスしにくいけど、広くて自然豊かな砧公園の中にあって、いいね!
久しぶりに小田急にも乗れて(昔、夫が登戸駅周辺に住んでいて、よく通ったものだった)楽しかった。。
ミュージアムカフェもあって、ひと休みにはぴったり。
(平日昼間はマダムとママで込み合っていて、あと世田谷価格で、カフェには入れなかった…物販で散財しちゃったから…;;)
■エントランス
こじんまりしているけどなんとなくノーブルな外観にたがわず、内部も曲線美が目立つ瀟洒な佇まい。
■子供連れのママたちに交じって鑑賞
あとはふつうに若いカップルがデートで来たりしていた。
わたしのような女性一人はあんまりいなかったかな。
内部の写真は撮れなかったので以下箇条書きで感想。
〇わたしは「しろくまちゃんのほっとけーき」が絵本ではおそらく一番好きな作品なんだけど、今回の展示ではその初版(初版は現行と若干色味が違う!)や表紙の下絵を見れてすごくうれしかった。
〇こぐまちゃんシリーズの絵本は、6色(スミ、アイ、グレー、ミドリ、オレンジ、キイロ)のみを使用して制作している。なので印刷するときも、一枚の大きな紙に6回刷って色を完成させ、6等分くらいに切って中綴じして絵本にする。浮世絵みたい。
〇ホットケーキのあのおいしそうな焦げ目は、グレー×オレンジ×キイロで出している。よー-く見ると輪郭線のあたりに、重なりきらなかった各色がわずかにはみ出しているのが確認できる。
(出典:https://www.kogumasha.co.jp/product/305/)
〇そもそもこぐまちゃんはぬいぐるみっていう設定のようだ(初めて知った)。ぬいぐるみは子供が最初に出会うお友達だから、ということらしい。なのであくまでクマではなくぬいぐるみっぽいフォルムを追求している。あのポテッとした形はこけし、着ている服は時代性をできるだけ排除するためにポンチョふうにしてある。目はにじんだようなオレンジの丸の中に点のような黒目があるが、これはぬいぐるみのガラスの目をイメージしてデザインした。
〇にじんだ光の点のモチーフはお気に入りの造形だったのか、わかやまけん氏の絵本の中では色々なシーンで出てくる(「きつねやまのよめいり」の提灯の描写、「おばけのどろんどろんとぴかぴかおばけ」の蛍がいっせいに光りだす場面など)。
〇こぐまちゃんシリーズの制作は70年代に行われた(なんと50年も前だ!会場にはわたしよりも若い母親が幼児を連れてたくさん来ていた。わたしも含めてみんな生まれてない。でもこぐまちゃんの存在はわたしが少女のころからずっとそばにいたし、それは母親たちにとっても同様であろう。そのことがなんだかとってもふしぎな感じがした)。
90年代以降も精力的に絵本や幼児教育雑誌の挿絵などの作品を生み出していくが、わたしにとっての「わかやまけん」は「こぐまちゃんの人」だったので、正直に言うとそれ以降の仕事はどうもピンとこなかった。
わたしはずっと「わかやまけん」がすきだと思っていたけど、どうやら違ったらしい。わたしがすきなのは「こぐまちゃんとしろくまちゃん」の世界観だったんだな。
■そして爆買いである
図録とポストカード、あとは「ほっとけーき」の中でも一番好きな場面(ホットケーキが焼ける様子を時系列に描いて並べた見開きのページの挿絵)が書いてあるトートバッグ。
美術館来るとどうしてもトートバッグ買ってしまう。
そんなにバッグたくさんいるんか?って思っているけど止められない。
だってTシャツは着ないし…
(出典:https://www.kogumasha.co.jp/product/305/)
ぬいぐるみ売ってたらいいな~~と淡い期待をしてたけど売ってなかった。残念。
■おまけ1:お姉さんはそっと耳栓を取り出して装着した
絵本の展示だからこどもが多いのは仕方ないけど、展示室内で騒いでいる子供をそのままにしておくのは正直どうかと思うぞ。おねえさんはもう大人だけど、こぐまちゃん見るためにわざわざ東北の田舎から、お金と時間使って遠路はるばる来たんだよ。子供だろうと大人だろうとここでは等しく鑑賞者なんだよ。
わかるかな?
あとどう見ても自我がまだ発達してそうにない乳幼児の頭を持って、どうにかして絵を見せようとしている母親もいた。
自我がない人間に展示を見せる意味あるのかな、飽きちゃうのでは?と思った。
■おまけ2:はしゃぐお姉さん
楽しかった!
それではまた次回!