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ハイブリッド日本家屋の住み心地は?★田根剛 未来の記憶|301215

田根剛(たね つよし)さんの「未来の記憶」展に行ってきました。

建設業界周りにいる夫もめずらしく興味をもったので二人で鑑賞。

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www.operacity.jp

彼の建築設計スタイルは、「作品を建てる土地のことを徹底的に、大小係わらず調べ収集した情報から、イメージをつかみだす」

第一章の展示室では、そんな彼の脳内をそっくり再現したようなインスタレーションが広がる。

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壁一面のイメージの洪水。

なんとなく、丸いものとか、集合体とか、カテゴリ分けしてある。

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第二章。

田根氏はまだ40代初めかな?かなり若い建築家みたい。

そんな彼の近年一番大きな仕事は、この「エストニア国立博物館」。

ソ連により残された軍事飛行場の跡地をほぼそのまま利用し、徐々に空に向かって角度をつけていくガラスの発射台のような形をしている。

支配された記憶の残る遺構を抹消するのではなく、呑みこんで、つくりかえて、こんなに大きくきれいな建築にしてしまう発想ってどこから来るんだろう。

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中はこんなふうに小さなユニット展示室が連なっている。

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現地での建設風景を記録したドキュメンタリービデオ。

周りは東欧の森、森、森。

余計な御世話だけどこれ行くの相当苦労しないか?

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ビデオでは現地での苦労なども本人により語られていた。

特にお国柄なのか、壁面部分のガラスに張るパターンシールが納期までに全然できてなかったり、いろいろルーズだったりして完成に間に合わせるのに苦労した談が印象的だった…。どんなにすばらしいデザインも、高い理念や立派なコンセプトも、結局現場でガラスを切ったり配線やったりする地道な大工仕事の果てにあるものなんだなあ。

 

これは国立競技場のコンペに出したという「古墳スタジアム」。

ちなみに真ん中をくりぬいたようにオープンスカイになっていて、模型も下から潜って顔を出せる。

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街においてみるとこんな感じ。

ちょっとした山みたいだね。

隈さんも好きな建築家だし、隈案もあたたかみがあってすてきだけど、

こんなこんもりした緑の山が東京の真ん中にあったらなんだか和みそう。

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以下、ざっくりと。

「A house for Oiso」

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いろんな時代の「家」の要素を組み立てた、ハイブリッド日本家屋。

下部分に土間があるようだけど、単純に土の床ってさむそうだし家が冷えそう、あと壁が少なくて風通しよすぎて寒そう、と反射的に敬遠しちゃった東北民です。。

しかしシンプルで素朴なデザインには素直に惹かれた。しっかり中まで目視できる大きな模型っていいね。覗きこみながら、わたしならどこでごはんを作ろう?どこでテレビを見よう?どこに本棚を置こう?と考えるのも楽しかった。

 

建築家の「作品」に住まうって、どんな感じだろう?あんまり想像できないけど、たぶんおうちが大好きになって、大切に使って、家でくつろいだり家族と過ごしたりすることをとても丁寧にするようになる気がする。作家の一点もののお気に入りワンピースに袖を通す日のように、背筋が伸びて、立ち居振る舞いがどことなく変わるかもしれない。

 

弘前市には昔のシードル工場跡を利用した芸術施設ができるらしい。

まだ模型でしか分からないけど、もしかするとりんごのいいにおいがするかも?

出来た頃にまた青森行きたい。アート巡りしたい。

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まとめ

全体を鑑賞して感じたのは、田根さんはけして天才型の建築家ではないということ。賞もたくさん取って活躍しているけれども、その分うまくいかなかったことも沢山ある。いろんな展示やイベントのデザインにも挑戦していて、いつも自分の可能性を自分で試しているような気配が感じられました。

自らの可塑性をあれこれ試していくアグレッシブさ、まねしていきたいなあ。

また、土地と作品(建物)との関係性をどう切り結ぼうか、その土地に対してどのように向かい合おうか、と丁寧に追求する謙虚な姿勢があるように感じました。

模型も、作品解説ビデオもしっかり作り込んであって、作家の意図をなぞりながら実物を想像するのがたのしかったです。かなりじっくり楽しみました!

 

あーー、いつか建築家にマイホームの設計頼んでみたいなあ。。いくらかかるのやら…。。

 

 

 

おまけ

ハイブリッド日本家屋。

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